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沙弥島の新着情報をすべて見る2022.05.11 瀬戸内断簡⑧
Directors Blog #8
作品巡遊(女木島名画座上映会)
先週、久しぶりにツアーガイドをしました。午後2時に高松港をめおん号で出て、<女木島名店街>を巡り、<女木島名画座上映会>、夜の<女根/めこん>見学です。「め」と「めい」が多いなあ。
<カモメの駐車場>と<20世紀の回想>を見て、海の家だった寿荘へ。<ピンポン・シー>はますます快調で、名店街内の特選食料品店では御年77歳のMパパが頑張っておられて嬉しかった。女木島の無農薬にんにく醤油を買いました。野菜炒めに使ったら美味しかったです。豆腐や卵や牛乳も買いたかったが諦めました。島の人たちも買いに来てくれるとか。目的の一部達成です。驚いたのは柳建太郎の<ガラス漁具店>と中里繪魯洲の<ティンカー・ベルズ ファクトリー>の充実度です。柳さんの部屋に入ると目に飛び込んでくるのがハートの形で、これはガラスの釣具をハート型に立体的に釣りしていて、下のミラーにも映り込んでとても美しい。反対側の壁には精巧に作られたガラスのルアーなどが展示販売されています。結構売れているそう。中里さんの部屋の入口には、鍛冶屋の人形がハンマーを振り下ろしてカチッカチッと音が鳴る看板があり楽しませてくれます。にぎやかな金属音を鳴らす心のマッサージ機は順番待ち、展示してあるアップサイクルの一輪挿しや茶釜は素晴らしく僕も買いたいと思っています。両店はつくりも作品もよく、これは立派な全国区のお店です。
レアンドロ・エルリッヒの<ランドリー>を横目に見て2階へ。岩沢兄弟の<鬼ヶ島ピカピカセンター>にあった扇風機壁掛け照明を予約しました。五所純子さんの<リサイクルショップ複製遺跡>も楽しく、アーティスト自身がキビキビと説明されていて、これも好感が持てました。遺物の購買お薦めです。1階に降りて美容院には美容師の玉木ひろ子さんがおられました。僕はこの日の午前に高松港の名物理容店キタジに行ったばかりで残念でした。ガイドを一瞬抜けて1階のヴェロニク・ジュマールの<カフェ・ドゥ・ラ・プラージュ>で甘夏のジェラートをいただきました。この店の机に手を当てて温度が高いと色が変わるスグレモノです。僕は冷血人間なので変化なし。ラケット代含めて1,360円成。楽しめました。
次に、あきびんごの<瀬戸内カーニバル>へ、絵画の力が凄い。三田村光土里の< MEGI Fab >はボタン屋も併設されていて大人気です。大川友希の<結ぶ家>も力作です。オオテ内の道を辿って女木ブラですが、それぞれはっきりした意思が感じられ楽しめました。アート作品と、そこに付随するショップという組み合わせ、地域の人が利用できて、観光客が喜ぶセレクトショップというのが地域芸術祭に限らず大都市の再開発でも今後の傾向になるでしょう。
レアンドロ・エルリッヒの<不在の存在>で高松市内の飲食店「味どころ 撰(せん)」のお弁当をご馳走になって、いよいよ名画座上映会です。今回はドイツのドーリス・デリエ監督の「命みじかし、恋せよ乙女」(2019年/ドイツ/117分)の上映です。この映画は 2008年の「HANAMI」の続篇にあたるものです。「あん」の樹木希林さん最後の出演作ということで選びましたが、現代のヨーロッパ社会の問題と家族の関わりが主題で、底には日本の文化への興味と共感があるものです。しかし僕にはキリスト教的な、あるいは彼らが考えるところの日本的死生観が理解しにくいところがありました。ただアルプスの麓、茅ヶ崎旅館での映像は美しく、映画ならではの展開も面白いものでした。その後は、名画座の夜景を背に大竹伸朗さんの<女根/めこん>の特別夜間開館で、このツアーの人気がある理由がわかりました。夏は松居大悟監督の映画を上映予定。乞うご期待。
翌日は宇野港の朝礼に出て、長谷川仁さんの<時間屋>の見学です。よくできた楽しいものになりました。
いよいよ春会期もあと一週間で終了。沙弥島・与島は残念ですが、これで終了です。話題満載の木ノ下歌舞伎の公演とツアー、さらに最終日には私の沙弥島・与島・直島ツアーもあります。ぜひご参加ください。
▶芸術祭オフィシャルツアー <スペシャル>
瀬戸芸5回目にして初企画!沙弥島の公開ラストデイ
「総合ディレクター北川フラムと行く 沙弥島・与島・直島の新作ツアー」
5/18 (水) 高松駅11番乗り場(10:00出発)=沙弥島(作品鑑賞80分/昼食弁当30分)=与島(作品鑑賞60分)=与島港桟橋~<チャーター船>~宮浦港(作品鑑賞60分)~<定期船/フェリー>~高松港(18:00解散)
料金:17,600円
スペシャルツアーのお申し込みはこちらから
https://setouchi-artfest.kotobus.com/tour/ktg016.html
2022年5月10日
瀬戸内国際芸術祭総合ディレクター 北川フラム